2022.10.17マウスピース矯正ワイヤー矯正歯科矯正
マウスピース矯正ができない例を紹介!部分矯正と全体矯正の違い
マウスピース矯正で使用する装置は透明のため、目立たずに歯並びを整えられます。そのため、ワイヤー矯正の装置に躊躇していた方でも始めやすく、近年では選択する方が増えています。しかし、マウスピース矯正は全ての歯並びに対応できる方法ではありません。そこで、今回はマウスピース矯正ができない例、できない場合の治療方法について紹介します。
この記事の目次
そもそもマウスピース矯正とは?

マウスピース矯正とは、専用のマウスピースを1日20~22時間以上装着して、1~2週間ごとに新しいものに交換しながら歯を動かす矯正方法です。近年ではインビザライを始め、アソアライナー、クリアコレクトなどさまざまなブランドが誕生しています。これらのブランドは、対応できる症例やマウスピースの素材などに違いがありますが、大きく分けると、「部分矯正」と「全体矯正」に分けられます。
部分矯正は、主に前歯を中心に歯並びを整える方法で、歯の生え方によって生じている出っ歯や矯正後の後戻りなど軽度~中等度の症例に対応しています。部分矯正は奥歯を動かさないため噛み合わせを整えることができません。
全体矯正は、奥歯も動かすことができ、歯並びと噛み合わせを整えることが可能です。出っ歯や受け口、抜歯を必要とする症例など軽度~重度の幅広い症例に対応しています。
なお、ばなな矯正歯科恵比寿では、以下のブランドを取り扱っています。
マウスピース矯正のメリット
部分矯正と全体矯正も共通して、以下のようなメリットがあります。
- 目立ちにくい
- 痛みが少ない
- 取り外しができる
- 虫歯や歯周病になるリスクが低い
マウスピース矯正の最大のメリットは、目立たずに歯並びを整えられることです。マウスピースは薄くて透明なプラスチックでできており、近くで見ない限りつけていることに気づかれません。また、ご自身で取り外しが行え、いつも通りの歯磨きができるので、むし歯や歯周病になるリスクが少ないのもメリット。食事の際も装置によるわずらわしさを感じることはありません。
ワイヤー矯正と違って2~3週間ごとに新しいマウスピースを交換しながら少しずつ歯を動かしていくため、痛みが少ないと言われています。
マウスピース矯正のデメリット
マウスピース矯正はメリットだけではありません。以下のようなデメリットがあります。
- 装着時間を守る必要がある
- 対応できる症例に限りがある
- 食事の際は毎回外す必要がある
- 破損・紛失する可能性がある
マウスピース矯正は、全ての症例に対応できるものではありません。また、ブランドや部分矯正に限らず基本的に1日20~22時間以上は装着する必要があります。装着時間を守らないと歯を動かすことができないため、自己管理が重要になる矯正方法です。
ご自身でマウスピースの取り外しが行えるのはメリットでもありますが、食事や間食の際は毎回外す必要があるので面倒と感じ、デメリットになってしまうことも。また、破損や紛失する可能性もゼロではありません。
マウスピース矯正ができない例

マウスピース矯正は、誰もが受けられる矯正方法ではありません。ここではマウスピース矯正ができない例について紹介します。
重度の歯周病に罹患している
歯周病とは、歯ぐきに炎症を起こし、進行すると歯を支えている骨を溶かしてしまう病気のことです。お口の中にいる細菌が歯垢をつくり、毒素を出すことによって起こります。
重度の歯周病に罹患している方は、マウスピース矯正も含めて全ての矯正治療を始めることが難しい可能性があります。なぜなら、歯周病により歯を支えている骨が溶けていると、歯を動かしても固定できなかったり、最悪のケースでは歯が抜け落ちたりする可能性があるためです。
また、軽度・中等度の歯周病でもマウスピース矯正中に症状が進行してしまうと、矯正治療を中断しなければならない可能性もあります。そのため、まずは普段からしっかり歯磨きを行い、歯科医院でのクリーニングや歯周病治療を受け、症状が改善されてからマウスピース矯正を始めることが望ましいです。
歯を大きく動かす必要がある
歯を大きく動かす必要がある場合、歯を少しずつ動かすマウスピース矯正では適応外になることがあります。たとえば、重度のガタガタした歯並びや出っ歯などは、歯を並べるスペースが足りないことで生じており、以下の処置を行ってスペースを確保する必要があります。
- 抜歯
- 歯と歯の間を削る
- 奥歯から1本ずつ後ろに移動させる
- 歯列を横に広げる
中でも抜歯が必要になるケースは、問題なく治療が進められるケースもあれば、歯の移動量が大きくなるとマウスピース矯正が適応外になることがあります。
あごの骨格に問題がある
あごの骨格が原因で歯並びが悪くなっている場合、マウスピース矯正では対応できないことがあります。たとえば、上あごの骨が発達しすぎて生じている出っ歯や、下あごの骨が発達しすぎて生じている受け口などです。このような場合、矯正治療と外科手術を組み合わせた治療が必要になる可能性があります。
インプラントを入れている

インプラントとは、虫歯や歯周病で歯を失った際、歯を失った箇所に人工歯根(インプラント体)を埋めて、その上に被せ物を入れる治療方法です。インプラントを入れている箇所はマウスピース矯正を含めて全ての矯正で動かすことができません。
歯を動かすには、歯の根っこにある歯根膜(しこんまく)が重要な役割を果たします。歯に力を加えると歯根膜に力が伝わり、移動する方向の歯根膜が縮み、反対側の歯根膜は伸びます。歯根膜には一定の厚みを保つ性質があり、縮んだ歯根膜は骨を溶かしてもとの厚さに戻ります。一方、伸びた歯根膜は新たに骨を作ってもとの厚さに戻ります。矯正治療は、骨を溶かして再生することで歯を動かしていくのです。インプラントには歯根膜がなく、あごの骨に直接固定されているため、歯を動かすことができません。
埋伏歯(まいふくし)がある
埋伏歯とは、歯が歯ぐきやあごの骨に埋まっている状態のことです。親知らず以外に埋まっている歯がある人は、歯ぐきを切って歯を露出させ、器具をかけて引っ張り出す(埋伏けん引)必要があります。これはワイヤー矯正でしか行えないため、マウスピース矯正では対応できません。ただし、親知らずの埋伏歯はマウスピース矯正も可能です。ご自身に埋伏歯があるかどうかは歯科医院のレントゲン撮影で簡単にわかります。
マウスピース矯正に不向き
マウスピース矯正はワイヤー矯正と違って、自己管理が重要になります。たとえば、マウスピース矯正は、1日20~22時間以上装着しないと歯を動かせないため、装着時間は守る必要があります。また、食事の後は歯磨きをしてから再装着しないと、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。そのため、自己管理に不安がある人や不規則な生活をしている人は、マウスピース矯正で治せる歯並びであってもできない可能性があります。
マウスピース矯正ができない場合は?

マウスピース矯正ができない場合、無理に行うと思わぬトラブルが起きる可能性があります。マウスピース矯正ができない場合は、以下の治療方法を検討しましょう。
ワイヤー矯正(表側矯正)

ワイヤー矯正とは、歯の表面に「ブラケット」と「ワイヤー」をつけて歯を動かす方法です。実績が豊富で確立された治療方法のため、マウスピース矯正では難しい症例でも、ワイヤー矯正であれば基本的に対応できます。ワイヤー矯正では見た目が目立つデメリットがありますが、近年では白いブラケットやワイヤーを使った方法もあります。
裏側矯正

裏側矯正とは、歯の裏側に「ブラケット」と「ワイヤー」をつけて歯を動かす方法です。歯の裏側に装置をつけるため、矯正器具が正面から見えないのがメリット。しかし、慣れるまで滑舌に影響が出る、歯ブラシが届きにくいため虫歯や歯周病になるリスクが高まるといったデメリットがあります。
ハーフリンガル矯正
ハーフリンガル矯正とは、上の歯は裏側矯正、下の歯は表側矯正で行う矯正方法です。装置が見える上の歯を裏側矯正にすることで目立ちにくく、裏側矯正よりも費用を抑えながら歯並びを整えることができます。ただし、笑ったときに下の歯が見える方は、装置が目立ってしまう可能性があります。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正の併用
マウスピース矯正だけでは歯並びを整えるのが難しい場合、ワイヤー矯正と併用することもあります。たとえば、歯を大きく動かしたいときや歯の移動が難しい場合、ワイヤー矯正で歯並びを整え、その後細かい調整はマウスピース矯正で行います。また、マウスピース矯正だけでは時間がかかる症例でもワイヤー矯正と併用することで、矯正期間を短縮することも可能です。
まとめ
マウスピース矯正は目立たずに歯並びを整えられるので、魅力的に感じる人もいるでしょう。しかし、全ての方に行える治療方法ではありません。対応できない例は以下の通りです。
- 重度の歯周病に罹患している
- 歯を大きく動かす必要がある
- あごの骨格に問題がある
- インプラントを入れている
- 埋伏歯(まいふくし)がある
- マウスピース矯正に不向き
上記に当てはまる方は、ほかの矯正治療やワイヤー矯正とマウスピース矯正の併用で対応できることがあります。まずは歯科医師と相談したうえで適切な治療方法を選択することが望ましいです。
マウスピース矯正ができるかは当医院にご相談ください
矯正治療を受けるうえで大切なことは、ご自身の歯並びにあった治療方法を選択することです。ご自身の歯並びがマウスピース矯正に対応できるかどうかは、歯科医院で検査が必要になります。ばなな矯正歯科恵比寿では、公式ホームページ・メール・電話・LINEからのご予約で初回カウンセリングが無料で受けられます。歯並びの悩み、不安、聞いてほしいことなど、ささいなことでも構いません。まずはお気軽にご相談ください。nl