横顔の印象を大きく変える「口ゴボ（読み方：くちごぼ）」は、コンプレックスに感じている方が多い口元です。原因によってそれぞれ治療方法が異なりますが、歯列矯正で改善を検討している方も多いのではないでしょうか。

今回は、口ゴボの原因や治療方法について解説します。横顔の印象でお悩みの方や歯列矯正を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

口ゴボとは、医学的に「上顎前突（出っ歯）」「反対咬合・下顎前突（受け口）」と呼ばれる不正咬合が伴った顔つきのことを指します。歯並びや骨格に問題はなくても、口元の皮膚や筋肉が分厚いことで口ゴボになることも考えられます。

テレビやインターネットで分かりやすい表現をするために、口元がもっこりと盛り上がったその見た目から「口ゴボ」という呼び方が広まったのでしょう。

口ゴボの原因は一人ひとり異なり、その原因によって治療方法も異なります。歯が関係していないこともあり、どうして口ゴボになっているのか、原因を探ることが改善や治療の近道です。

ここでは、口ゴボになる原因を詳しく解説します。

生まれつき顎の形に異常がある場合や、成長期にうまく顎が発達しなかった場合など、骨格が原因の口ゴボです。家族や親戚に口ゴボの方がいる場合は遺伝しやすく、歯列矯正だけでは治療が困難な場合があります。

また、幼少期に柔らかいものを好んで食べていると、顎に刺激が伝わらず成長が抑制された可能性も考えられるでしょう。子どもの成長期に問題のある食生活をしていると、将来的に口ゴボになるリスクが高まります。

参考：慶応義塾大学病院　医療・健康情報サイト　歯列不正

前歯が大きく前方に傾斜してると、口ゴボに見えることがあります。幼少期に指しゃぶりをしていると、歯に圧力がかかり続けて少しずつ歯が傾斜します。また、舌で前歯を押す癖や口呼吸も前歯を傾斜させる原因です。

歯が原因の口ゴボは、歯列矯正での治療が有効でしょう。ただし、悪習慣が抜けていないと、矯正治療後に再び口ゴボになる可能性が高まります。大人になっても爪を噛む癖や、舌癖がある場合は、矯正治療と同時に改善するトレーニングが必要です。

歯の向きや骨格に異常がないにもかかわらず口ゴボな場合は、唇や口元の皮膚が分厚いことが考えられます。ダイエットや表情筋を鍛えるトレーニングで改善されることもありますが、遺伝的に唇や皮膚が分厚い場合は改善が難しいこともあるでしょう。

歯並びや骨格に問題がない場合は、矯正治療による改善が見込めないため、美容整形などを検討する必要があります。医療機関でカウンセリングを受け、適切な方法で治療を受けましょう。

歯並びは悪くないように見えても、口ゴボのような印象を与えるケースがあります。デコボコした歯並びや出っ歯の場合では、歯が傾斜している分口元が盛り上がることがあるからです。

また、持って生まれた顔つきや、骨格的な要因が関係していることもあるでしょう。口元に力を入れたり、口をすぼめる癖がある方も、口ゴボのような印象を与えることがあります。口ゴボの原因はひとつではないため、それぞれに合った方法で治療を受けるようにしましょう。

口ゴボの原因が歯並びや噛み合わせにある場合、適切な歯列矯正を受けることで治る可能性があります。

骨格の問題であれば、外科的処置が伴う歯列矯正が必要であったり、美容整形などで骨を切る手術が必要になることがあるでしょう。

口ゴボの原因が歯並びや噛み合わせにある場合、歯列矯正で改善できることがあります。口ゴボの程度やお口の状態を配慮し、適切な方法で治療を受けると、口ゴボの改善が期待できます。

ここでは、口ゴボの変化が期待できる矯正方法を解説します。

前方に大きく傾斜している歯並びや、歯が全体的に前方へ出ている噛み合わせなど、歯を後方に引き下げて口ゴボを解消する方法です。親知らずの抜歯などで、奥に移動させるスペースを確保します。

ただし、後方に引き下げられる距離には限りがあるため、大きな改善が見られない可能性もあります。そのため、その他の方法と組み合わせて歯列矯正を行うことがあるでしょう。

顎と歯のバランスが悪く、デコボコした歯並びや出っ歯になっている場合、歯を少し削ってスペースを作る方法があります。歯科ではストリッピングやIPR（interproximal enamel reduction）といい、臨床的に安全性が確認されている方法です。

むし歯治療のように大きく削るのではなく、歯の両サイドを合計で最大0.5ミリほど削ります。できたスペースを利用して歯を並べ直すことで、口ゴボの改善を目指します。削る量はごくわずかなため、しみたり痛みがでたりすることはほとんどありません。

歯を削る方法や、親知らずの抜歯ではスペースが確保できない場合、前歯から4番目もしくは5番目の歯を抜いてスペースを確保する方法があります。噛み合わせのバランスを取るために、上下左右1本ずつ（計4本）抜くことが一般的ですが、上顎だけ・下顎だけの2本を抜くケースもあります。

健康的な歯を抜くことに抵抗がある方もいますが、大きなスペースを確保できるため、口ゴボの改善が期待できます。また、抜いたあときちんと歯並びを整えることで、むし歯や歯周病リスクが軽減するなどお口の健康につながります。

骨格に問題がある場合、歯列矯正と平行して外科手術を行う方法があります。上下どちらかの顎の骨を分割し、上下の噛み合わせが良好になる位置で固定する方法と、上下の顎を分割して新たに噛み合わせを作り直す方法があります。一般の歯科医院では対応できないことが多く、口腔外科や大学病院で外科手術を受ける必要があるでしょう。

参考：慶応義塾大学病院　医療・健康情報サイト　顎変形症

歯並びによっては、保険適用で歯列矯正と手術を受けられます。ただし、自由診療の歯列矯正を受けた場合、入院や治療費が保険適用にはなりません。詳しい内容は、歯科医師に相談してみましょう。

口ゴボの改善が期待できる歯列矯正には、いくつかの種類があります。一人ひとりの歯並びやライフスタイルに合った適切な方法を探すことが大切です。

ここでは、口ゴボに適用される歯列矯正の種類を解説します。

表側矯正はブラケットと呼ばれる装置を1本1本の歯に取りつけ、その間にワイヤーを通して歯を動かす方法です。歴史が古く数多くの研究がされてきた表側矯正は、重度の歯並びや外科手術が伴う歯並びなどほとんどの歯並びに対応できます。

当院の表側矯正の費用は88～100万円ほど、治療期間は2～3年ほどかかります。アンカースクリューと呼ばれる矯正用インプラントを用いると、治療期間の短縮や口ゴボの大きな改善につながります。ただし、追加費用が発生することやアンカースクリューを埋め込む小手術が伴うため、歯科医師と相談しながら決定するようにしましょう。

参考：マウスピース矯正とワイヤー矯正のどちらを選ぶべきか？わかりやすく解説！

裏側矯正はブラケットとワイヤーを歯の裏側に取りつけ、歯を動かす矯正方法です。装置はすべて裏側につけるため他の人から見えることはありません。歯列矯正中であることを隠したい方でも、安心してはじめられる矯正方法です。

当院の裏側矯正の費用は110～130万円ほど、治療期間は2～3年ほどかかります。表側矯正よりも高い技術が必要なことや、オーダーメイドの装置を作成することから、費用を高めに設定している歯科医院がほとんどです。前歯を後方に引き下げる歯並びが得意なため、歯の傾斜が原因の口ゴボに適しているでしょう。

マウスピース矯正は透明度の高いプラスチックで作成され、形の異なるマウスピースを順番に交換しながら装着して歯を動かす方法です。「目立たない矯正」として、選択する方が増えています。

当院のマウスピース矯正の費用は66～100万円ほど、治療期間は1～3年ほどかかります。マウスピース矯正は治療を開始する前にすべてのマウスピースを作成しますが、治療計画と異なる歯の動きをした場合、マウスピースを作り替えることがあります。その場合は、費用や治療期間が変わることがあります。

参考：マウスピース矯正とは？併せてばなな矯正歯科恵比寿のマウスピース矯正をご紹介

口ゴボの悩みのなかに、なにが原因なのか、どこで治療を受ければいいのか分からないという方がたくさんいます。口ゴボの原因は一人ひとり異なるため、自分に合った適切な方法で治療を受けることが大切です。

• 歯並びが原因の口ゴボは歯列矯正で改善が期待できる
• 生活習慣が口ゴボを悪化させていることがある
• 歯列矯正が口ゴボ改善に向いていないケースもある

どこに相談すればいいか迷ったら、まずは歯科医院へ気軽に相談してみましょう。一人で悩むよりも、歯科医師による診断を受けるほうが確実で早い解決につながります。当院では歯列矯正に関する初回カウンセリングを無料で行っております。とりあえず話を聞いてみたいという方でも、お気軽にご相談ください。