今回は、食いしばりのマウスピースに効果はあるのか？という疑問を解消していきます。マウスピースのメリットや種類も併せて解説するので、ぜひ参考にしてください。

食いしばりや歯ぎしりは、無意識のうちに行っているケースが多く、意識的に辞めることは難しいと考えられています。そのため、歯にかかる負担を軽減させるために、マウスピースを装着します。

しかし、自分の歯に合っていないものは効果がないばかりか、逆効果の可能性もあります。なかでも、薬局などで販売されているものは、自分の歯型に合っていないことが多く、使用を続けることで歯や歯ぐきに悪影響を及ぼすこともあるでしょう。

しっかりと効果を感じるためには、医療機関で作成したマウスピースを使用することが大切です。

食いしばりや歯ぎしりから歯を守るマウスピースは、スポーツをするときに衝撃から歯を守る「マウスピース」とは異なります。

食いしばりや歯ぎしりから歯を守るマウスピースは「ナイトガード」と呼ばれることもあり、大きく分けて2種類があります。

レジンと呼ばれるプラスチック製のマウスピースで、ソフトタイプよりも硬く耐久性に優れています。作成後に削ったりレジンを追加したりすることで、細かい調整が可能です。硬い素材のため、装着時に少し締め付けられるような違和感を覚えることがありますが、使っているうちに、徐々に慣れるケースがほとんどです。

ハードタイプは、食いしばりによって顎関節症を起こしている方や、食いしばり・歯ぎしりがひどい方に向いています。

ビニール製の柔らかい素材でできていて、装着時の違和感が少ないタイプです。ハードタイプのように削ったりレジンを追加したりして、マウスピースを調整することはできません。また、食いしばりや歯ぎしりが強い方は、穴が開きやすいという欠点があります。

ソフトタイプは、はじめてマウスピースを作成する方や違和感や痛みが心配な方、詰め物や被せ物を守ることが目的の方などに向いています。違和感が少ないことから受け入れられやすく、現在では主流になりつつある素材です。

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食いしばりの治療に使うマウスピースは、適切な方法で使用すると効果を発揮しますが、良い点ばかりではありません。初めて使う方は、食いしばりのマウスピースにどのようなデメリットがあるのか気になるでしょう。

ここでは、食いしばりのマウスピースのデメリットを解説します。

マウスピースは透明度が高く、薄い医療用プラスチックで作成されますが、装着時に違和感を覚えることがあります。慣れるまでは唾液が溜まりやすかったり、話にくかったりと不便と感じるかもしれません。

また、なかには睡眠時に無意識で外してしまう場合もあります。その場合、食いしばりのダメージを分散できず、あまり効果を感じないという方もいるでしょう。マウスピースの違和感に慣れるまでは、少しの我慢が必要です。

市販のマウスピースは自分の歯に合っていないことが多く、きちんと効果のあるものを使用するには歯科医院で作る必要があります。マウスピースの作成は保険適用されますが、市販のものに比べると少し費用がかかってしまうでしょう。

参考：厚生労働省　歯科保険請求2018

また、食いしばりや歯ぎしりによってマウスピースがすり減るため、定期的に受診して歯のチェックを行い、必要であればマウスピースを作り直します。マウスピースを作成する理由によっては自由診療となる場合もあり、その場合は費用の全額を負担しなければなりません。

食いしばりのマウスピースを装着しても、食いしばり自体が治るわけではありません。マウスピースは食いしばりによる歯へのダメージを軽減させるものであり、食いしばりを改善させる装置ではありません。

そのため、食いしばりを改善させたい方にとっては、装着する意味がないと感じてしまうかもしれません。しかし、無意識のうちに行っている食いしばりを改善させるのは、非常に困難でしょう。少しでも歯へのダメージを減らすためにも、マウスピースを装着することが大切です。

食いしばりのマウスピースは、デメリットばかりではありません。歯科医院で検査を受けたあとに作成するものは効果が高く、歯や顎の負担を軽減する効果が期待できます。この章では、食いしばりのマウスピースを使うメリットについて詳しく解説します。

強い力で歯を食いしばっていると、特定の歯に大きな負担がかかります。歯にヒビが入る、歯がすり減る、歯が折れる・欠ける、歯ぐきへダメージがかかるなど、歯の寿命を縮めてしまうものばかりです。

マウスピースを適切に使用すると、上下の歯にかかるダメージを分散・吸収できます。本来であればすり減るはずの歯を、マウスピースが身代わりとなってくれるのです。歯や歯ぐきの負担を軽減することで、健康的な歯を長く使えるようになります。

無意識のうちに行う食いしばりや、瞬発的な食いしばりはとても強い力で奥歯に負担をかけています。また、むし歯治療で詰め物をした箇所や被せ物などは、食いしばりが原因で欠けたりすき間ができたりすることがあります。できたすき間から細菌が侵入し、再治療が必要になることもあるでしょう。

また、審美性の高いセラミックやジルコニアなどは、食いしばりによって割れる可能性がある素材です。しかし、マウスピースを装着することで、力を分散し、良い素材の詰め物や被せ物が欠けたり割れたりするのを防げます。

食いしばりのマウスピースは、顎の不調を引き起こす顎関節症の予防にも有効です。上顎もしくは下顎の歯全体を覆うものを、主に睡眠中に使用します。睡眠時の食いしばりや歯ぎしりは、起きているときよりも強い力がかかっているため、マウスピースを装着することで咀嚼筋の緊張を緩和させたり、顎の関節への負担を軽減できたりします。

また、マウスピースの使用は顎関節症の治療にも使われます。きちんと装着を続けることで、顎の関節の痛みが和らいだり、症状が悪化するのを防げるでしょう。

参考：一般社団法人　日本顎関節学会

食いしばりは無意識に行われることが多く、根本的な改善は難しいケースがあります。日常生活での習慣が関係していることもあり、食いしばらないことを意識して生活することが大切です。

具体的には、以下のような行動を控えてみましょう。

他にも、顎の筋肉が緊張している状態が続いていることが原因と考えられる場合、筋肉の緊張を緩和させる注射、整体や鍼などで緊張をほぐすことも効果的です。いずれも、自分に合った方法で治療を受けるようにしましょう。

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自分に合ったマウスピースをきちんと装着することで、食いしばりによる歯や歯ぐきへのダメージを軽減できます。食いしばりのマウスピースを使いはじめるか迷ったときは、以下のポイントを参考にしてください。

• 歯や歯ぐきへの負担を大きく軽減できる
• 食いしばり自体がなくなるわけではない

食いしばりが起こる原因はひとつではありません。さまざまな要因が重なっているため、自分に合った方法で食いしばりから歯を守りましょう。朝起きたら顎が疲れている、歯がすり減っているなど「食いしばりをしているかも？」と感じた方は、お気軽にご相談ください。